アーカイブ動画(2時間20分程、休憩時間除く)、販売中!
日時:2023年11月24日(金)19時〜 ←終了しました
会場:京都 KIKA Gallery 会場満席!

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概要

 本講義は2つの視座を同時に持ちます。(1)ドイツ観念論を通じてジジェクに入門できるように、(2)ジジェクを通じてドイツ観念論に入門できるように、案内することです。
 ジジェクは次のように言います。「映画をはじめすべてを私から取り上げることができるでしょう。しかし、哲学だけは私から取り上げることはできません。」そして彼にとっての哲学とはずばり、「精神分析によってドイツ観念論の遺産を再びアクチュアルにする」ということです。本講義では、そのことばを「文字通り」真面目に受け取り、「ジジェク的ドイツ観念論」あるいは「ドイツ観念論的ジジェク」を3つの要点にしぼって解説します。
 ①精神分析の「死の欲動」概念をドイツ観念論の「否定的主体性」の概念によって復権したこと
 ②カントの「物自体」からヘーゲルの「見せかけとしての見せかけ(現われ)」への移行に、現代的なイデオロギー論を見て取ったこと
 ③ドイツ観念論を「事後性」と「不完全性」にかんする優れた洞察として再解釈したこと(とくにこの点がマルクス・ガブリエルに継承されます)
 また初心者のためには「ドイツ観念論とはそもそも何か」について、玄人のためには「ジジェク以降」の現代思想的動向についても、時間の許すかぎりで紹介します。

★特典☆

お申し込みいただいた方に、特典として、エイドリアン・ジョンストン「超越の内在性——カントからヘーゲルへ」の中村徳仁訳(『夜航』第5号掲載、下記参照)のデータをお送りします。「ジジェクやバディウ以降の現代哲学を牽引する重要な論者の一人」の手になる論文で、ジジェクをして「まるで彼がオリジナルで、私がコピーであるかのようだ」と言わせた著作『ジジェクの存在論』の一章。講座前後に読むことでよりクリアな見通しや新たな発見が得られるはずです。

中村徳仁さんの関連出版物

批評誌『夜航』第5号「特集:ジジェク以降のドイツ観念論へ」

〈目次〉
【特集:ジジェク以降のドイツ観念論へ】
・まえがき  中村徳仁
・ジジェクの弁証法的唯物論とはなにか――その哲学史解釈を通じて  木元裕亮
・超越の内在性――カントからヘーゲルへ  エイドリアン・ジョンストン(訳 中村徳仁)
・根拠の不充足性――ジジェクのシェリング主義について  イアン・ハミルトン・グラント(訳 中島新/中村徳仁)
・【解説論文】I・H・グラントの「超越論的地質学」――シェリング主義とドゥルーズ  中島新/中村徳仁
・「偶然性の必然性」と「必然性の偶然性」――ブラシエとメイヤス―への応答  スラヴォイ・ジジェク(聞き手 ベン・ウッダード 訳 山名諒)
【特集外論考】
・コロナ時代の舞台芸術の「舞台性」とは何か――KAVCの試みとチェルフィッチュ『未練の幽霊と怪物』  吉村雄太
・声の文化としての音楽――録音からみる能《井筒》の演奏テンポ分析  藤川大晃
・東アジアにおける規範の創造をめぐる挑戦――柄谷行人と李沢厚の「超越論的」(transzendental)の解釈  カク・ミンソク
・社交的振舞いについての試論  F・D・E・シュライアマハー(訳 田村豪/岡田勇督)

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【近刊】マルクス・ガブリエル『超越論的存在論 ドイツ観念論についての試論』中島新・中村徳仁訳、人文書院、2023年12月発売予定

〈目次〉
序論 超越論的存在論のコンテクスト
第一章 知の存在論
第二章 シェリングの自由の存在論
第三章 偶然性か、それとも必然性か――シェリング対ヘーゲル

人文書院のページ

講師プロフィール

中村 徳仁(なかむら・のりひと) 1995年生まれ。現在、ドイツ・テュービンゲン大学博士研究員、京都精華大学非常勤講師。専門はシェリングをはじめとした近現代ドイツ哲学、社会思想史。批評誌『夜航』主宰。主な論文に、「シェリングにおける「非体系性」と「自由」の思索」(『哲学』72号、2021年)など。翻訳に、クリストフ・メンケ『力:美的人間学の根本概念』(2022年、人文書院、共訳)、「ポストモダニズム再訪:フレドリック・ジェイムソンへのインタビュー」(『現代思想』6月号、2021年)など。