概要

 ジュディス・バトラーと並んで「クィア理論」を創成期から牽引し、2009年にその短い生涯を閉じたイヴ・コゾフスキー・セジウィック。『クローゼットの認識論』をはじめとする著作で同性愛やクィアをめぐる決定的な議論を展開し、『男同士の絆』で提唱された「ホモソーシャル」の概念は、いまやセジウィックの名を知らない人にまで広く浸透するところとなりました。
 けれどこれらの初期の理論的著作は、セジウィックの仕事の一部にすぎません。18年に及ぶ闘病生活のなかで、多彩なスタイルが試みられていきます。晩年は、みずからこそその代表的書き手であった「理論」のスタイルそのものに挑戦するような著作を残し、現在にまで大きな影響を及ぼしつづけるとともに、その衝撃はいまだ十分に受け止められていません。
 こうしたセジウィックの仕事は、訳書が限られていることもあり、必ずしもアクセスしやすいとは言えない状況が続いています。そんななか、2022年12月に、セジウィックの最後の著作『タッチング・フィーリング』が、岸まどかさんの翻訳で出版されました。セジウィック晩年の理論的な到達点と「ゆるく」軽やかな筆致とを余すところなく伝える本書は、第十回翻訳大賞第二次選考にもノミネートされ、じわじわと読者を獲得しつつあります。
 本講座では、岸まどかさんに、クィア理論とはどのようなプロジェクトなのかという基本の(しかし大きな)問いから始めつつ、セジウィックの仕事を一から総ざらいし、バトラーとの比較なども挟みながら、イヴ・セジウィックとはどのような理論家だったのか、いまに受け継がれる遺産はどのようなものなのかを語っていただきます。クィア理論の優れた研究者にして、セジウィック、バトラーのすばらしい翻訳者でもある岸さん、このテーマでこれ以上の人はいないと思う人です。
 『タッチング・フィーリング』刊行から一年半となるこのタイミングでの本講座。刊行記念イベントというと出版の初速に乗って行われるのが常ですが、時間をおいて、本がゆっくりと読まれつつあるなかで催されるのが本来ではないかという気がしています。すでに本書を読まれた方も、まだお読みでない方も、ぜひこの機会をお見逃しなく!(勝田)

申込み方法

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折り返しメールおよびお振込をもって予約完了とします。

日程・会場

※オンライン配信あり。アーカイブ視聴可(長くご覧いただけるようにする予定です)。
現地参加の方にもアーカイブURL配布。

日時:2024年5月19日(日)14時〜 現地残席僅少
会場:スタジオスクイント(地図はこちらから)
   東京都新宿区四谷4-7小林ビル2F 
   最寄:四谷三丁目駅 1番出口

料金

1500円 (学生割引 1000円

岸さんの論文

・岸まどか「世話するひとたち ―ガートルード・スタイン『三つの人生』と修復的読解の鍛錬」(中央大学人文科学研究所編『読むことのクィア』所収)

岸さんの訳書

・イヴ・コソフスキー・セジウィック『タッチング・フィーリング——情動・教育学・パフォーマティヴィティ』(小鳥遊書房)

・ジュディス・バトラー、大橋洋一との共訳『分かれ道——ユダヤ性とシオニズム批判』(青土社)

講師紹介

岸まどか 1982年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文社会系博士課程満期退学、ルイジアナ州立大学博士課程修了(英文学専攻、Women’s, Gender, and Sexuality Studies副専攻)。現在はルイジアナ州立大学研究員。専門は北アメリカ文学研究、クィア理論など。訳書にジュディス・バトラー『分かれ道ーーユダヤ性とシオニズム批判』(大橋洋一との共訳、青土社、2019年)、イヴ・コソフスキー・セジウィック『タッチング・フィーリングーー情動、教育学、パフォーマティヴィティ』(小鳥遊書房、2022年)、ローレン・バーラント『残酷な楽観性』(ハーン小路恭子との共訳、花伝社、2025年刊行予定)。著書にThe Suicidal State: Race Suicide, Biopolitics, and the Sexuality of Population (Oxford University Press, 2024年10月刊行予定)。

問い合わせ先

ご不明点等あれば遠慮なくお問合せください。
勝田悠紀 ywaiya0820@yahoo.co.jp